7/20(火)に、あいち女性起業家・経営者支援プログラムCOMPASS 2021【第3回ブラッシュアップ・セミナー】を開催しました。
はじめに、前回同様に前回のふりかえりとこの1週間をどんなふうに過ごしてきたか、近くの席の人同士で共有しあいました。
つぎに、愛知県のSDGsの取り組みについて、愛知県 政策企画局 企画調整部 企画課の鶴村幸乃主事から話題提供がありました。愛知県は2019年7月に「SDGs未来都市」に選定され、「SDGs未来都市計画」を策定し、経済、社会、環境の3つの側面から施策を展開し、産業振興、観光振興、食、農林産業の振興など幅広い分野で協働しながら推進しているところですとご紹介がありました。また、3つの側面ごとの取り組みと課題について説明がありました。
経済面:
自動車の愛知。100年に一度の変革時期とも言われている大きな環境変化の中にあるからこそ、また、AIをはじめ先端技術が大きく進展するいまだからこそ、世界をリードする産業の拠点にならなければならない。自動運転の実証実験など、企業や大学市町村と連携して取り組んでいる。スタートアップ支援にも力を入れており、2024年度のオープンに向けてステーションAiでは、世界高品質のスタートアッププログラムを提供していきたいと考えている。
社会面:
愛知県は全国第4位の752万人の人口。製造業がさかんで男性の働き手が多く、20-34歳の同年代の女性の比率が少ないという特徴がある。また、技能実習生など多くの外国人がおり全国第2位の27万人が暮らしている。多様性は社会の力。「すべての人が活躍する社会」の構築は必須であると考え、女性、外国人をはじめ、若者、高齢者、障害者などへの支援を行なっている。
環境面:
都市化の進行や活発な産業活動により、農地や森林が宅地や道路などへ転換。生物のすみかが減少している。また、二酸化炭素の排出量について、愛知県は産業からの排出割合が全体の半数以上を占め、全国と比べても割合が高い。生態系の再生や温室効果ガス排出削減に向けて、企業やNGOと連携して取り組んでいる。FCV・EV・PHVなど環境負荷の少ない次世代自動車の整備も進めている。
第3回のテーマ「社会の動きをつかんで、あなたの事業をブラッシュアップしよう」では、メンターの金子尚弘さんから、事例を混じえてお話しいただきました。
社会的なニーズとはどういうことか、ここでは、社会全体の困りごととは、お客さんや顧客の個々の困ったがあつまったものを社会的なニーズ、社会の動きと呼びます。社会的なニーズの全体感をつかむというのも必要ですが突き詰めていくと、目の前のお客様や関わっている方の「声」が重要になってくると思う。
これまでのブラッシュアップ・セミナーにおいて、第1回目で自分は本当はなにをしたいのか、組織の「理念」は何なのか自己を見つめ、第2回目で自分や組織がもってる資源を使ってなにが提要できるのか「提供価値」を棚卸ししてきた。第3回目のきょうは、徐々に自己から社会へ目を向けながら、対社会、対お客様の目線で物事を考えていきましょうと説明がありました。
水面の上に見えている島は「成果としての仕事」であり、実は水面の下には「技術・知識」「考え方・価値観」そして一番下の土台に「理念」がある。ブームに乗る、社会の動きを読むといいつつも、土台にあるのは価値観や理念になってくる。ではそれをどう作っていくのか?一つの考え方の方法として、出発点である理念や提供価値から、テストとリサーチを繰り返すことで、商品サービスのクオリティを上げていくという方法がある。
事業をしていくなかで起業家が陥りがちな罠として「完璧なものを作らないと世に出しては行けない」という思い込みがある。ただ、リサーチというプロセスを抜いてしまった場合、果たしてそれは社会で求められている商品サービスなのかが見えないまま突き進んでしまうことになる。言い換えれば、自分ではこれだと思った商品サービスが社会では求められていないモノになってしまう。それはとてももったいないこと。クオリティが完璧でなくても世の中に出してみて、アンケートをとるなどの個別のヒアリングと街を歩いて肌感覚で見ていくなど、テストとリサーチを繰り返すことによってクオリティを上げていきましょうと説明がありました。
また、マーケティングとは、お客様のことを知ることと、お客様に自分のことを知ってもらうこと。どんな理念で、どんな考え方でこの商品サービスを提供しているのかということをお客様に知ってもらう。お互いのことを知る、または知ってもらうことがマーケティングの一つ。ということで、ワークシートを使いながら個人ワークで整理した後、参加者同士で共有しあいました。
参加者の声
- 県のSDGs重点項目や女性起業家に期待することを聞けた。困っている人が沢山いるのに社会の動きをくみ取れないことによるミスマッチは、もったいないことであるとあらためて気づかされた。
- 島として見えているのは、仕事の成果。その下に知識技術、考え方、理念。マーケティングは相互理解。という言葉が印象に残りました。渦中にいるとなかなか見えないものが、お話しを聞くと見えてきました。
- 情報の整理が出来て進む方向性が間違ってないと確信できました。
- 社会の動き=世の中の動きのように大きく捉えようとしてしまっていたが、身近なところと紐付けて考えていけばよいことがわかりました。
- 理念、提供価値、社会的意義の3つがあって成立する。自分がしたい事でも需要が無ければ意味が無い。という言葉が印象に残りました。
- 事業に関わる社会の動きや流れについて、わかっているようでわかっていなかった自分に気付きました。特に「マーケティングは相互理解」という言葉はまさに今の自分に足りない視点だと思いました。
- 「テストとリサーチを繰り返す」やっているつもりでいましたが、ストックすることをせずその場で聞き流していたことに気づきました。今後はしっかりとクライアントのご意見をストックし改善すると言う流れを作っていきたいと思いました。
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あいち女性起業家・経営者支援プログラムCOMPASS 2021
第3回ブラッシュアップ・セミナー
日時:2021年7月20日(火)10:00-12:00
会場:愛知県産業労働センター(ウインクあいち)18階 会議室
テーマ:社会の動きをつかんで、あなたの事業をブラッシュアップしよう!
話題提供(愛知県の取組):SDGs「あいちSDGs Action」
https://www.pref.aichi.jp/kikaku/aichi-sdgs/
参加者:27名、ビデオ受講:9名