[開催レポート] 8/23(月)【お金が変わると経済が変わる?〜期限付きのお金がこれからの社会に必要とされる理由とは〜】 NAGOYA WOMEN STARTUP LAB. オープンセミナー
8/23(月)に、NAGOYA WOMEN STARTUP LAB. 2021 オープンセミナー【お金が変わると経済が変わる?〜期限付きのお金がこれからの社会に必要とされる理由とは〜】を開催しました。ゲストにネ株式会社eumo 代表取締役の新井 和宏氏をお招きし、サスティナブル・ストーリー株式会社 代表取締役の中島康滋がナビゲーターを担当しました。
はじめに、新井さんからお金と経済の関係についてお話しいただきました。期限付きのお金eumo(ユーモ)は最近、FRaUやLeeなど女性誌にも取り上げられるようになり、ライフスタイルとして受け入れられている。また、新学習指導要領では2022年度から高校の家庭科の授業で「投資信託」を教えることになったことをうけ、生徒たちに投資信託を教える前に「お金ってなに?」を教える必要があるのではと、小中学生にもわかるようにふりがなをふって本を出版しました。
『あたらしいお金の教科書 ありがとうをはこぶお金、やさしさがめぐる社会』
https://www.yamakawa.co.jp/product/15203
日本は海外に比べるとお金の教育と性教育が不都合な真実のように取り扱われている。お金に対しててテクニックではなく哲学のようなものをもたないと、生きていく上で非常にたいへんなことになると金融マンとしてずっと思ってきたので、この度、テクニックではないお金との向き合い方を本にしたとのことでした。
時代は共感へ
共感資本社会とはどんな社会なのか?非営利型株式会社eumoの経営理念にもあるように、共感資本社会とは「共感という見えない、貨幣換算できない価値を大切に育み、それを基礎(資本)として、活動していける社会」をいい、これまでの資本主義社会から「共感」という考えかたに移りつつある。
なぜ減価するお金が大事か
たとえば、みなさんが野菜の生産者だったら、お金をもっている人は今日じゃなくて明日買うからいらないです言ったら、野菜はくさる。次の日野菜の値段は下がる。それに対し、お金はくさらないから結果的にお金が有利になる。生産者が弱い立場になり、お金を持っている人が有利になってしまう。だから、格差が生まれにくい社会にしていくために、減価するお金をつくりたかった。
なぜ格差は生まれるのか?
現在GDPは増えている。その背景では世界の債務残高も増えている。世界で借金する人が増えると結果的にGDPが伸びるという傾向がある。なぜ今回(コロナ禍で)株価が上がったかというと、借金する人が増えたから。借金する人が増えると、GDPが上がり、株価が上がるという構造になっている。
トマ・ピケティが証明した「貧富の差」。これまで信じられてきたトリクルダウン(富裕層がより豊かになることによって、その富が滴り落ちるよう、全体に行き渡るというもの)は起きない。これを変えていこうということで、お金の専門家として、期限付きのお金eumo(ユーモ)をつくった。
eumo(ユーモ)
https://currency.eumo.co.jp/
貯めるお金は日本円でできるので、eumoは「貯まらないお金」、使うお金のプラットフォーム。今年7月にバージョンアップしたアプリでは、インスタのようにお店をフォローしお店とつながる、自分が気に入っているお店を情報発信しているユーザとつながることができるように機能追加し、社会関係資本、つまり、関係性をより構築できるような仕組みに変えている。
後半は参加者からの質疑応答にお答えいただきました。
「そもそも経済は、受け取った価値=対価という前提は違っているのでしょうか?」「今の高校生(もしくは中学生以下)に新井さんが授業をするとしたら、1番伝えたいことを一言で伝えるとしたらなんですか」「少子高齢化に向けて、今後増えていく社会保障費(医療費、介護費)について、どう思いますか?」など、参加者からの質問に具体的にお答えいただきました。
最後に一言
わたしの人生のテーマは「お金とはなにか?」。恩師から問いをいただきそれに向かって生きています。お金とはなにかについて問い続ける人生を120歳まで問いながら生きていこうと思っています。コロナ禍で大変な中、大切なものを大切に。お金との付き合いかたを上手く付き合っていただき、「ステキな生きる」を生きていってほしいなと思います。
これからの時代必要となるのは、お金の貯めかたも大事なのですが、日本で教わっていない「お金の生かしかた」。生きたお金の使いかたをだれからも教えてもらっ
ていない。これまでの人生よかったなと思えるような生きかた、お金の使いかたをしていっていただけたらと思います。
参加者の声
- これからのお金のあり方、教育についてなどを的確かつ詳細にお話いただけました。おだやかな話口調のなかに熱意を感じとても心が高まりました。
- 非営利型の株式会社という発想が斬新でした。「お金のデザイン」を変えていきたいという言葉が印象に残りました。
- 「寄付は未来への投資」「生きたお金の使い方を早くから学ぶべき」「利他行為が信用につながると良い」「(eumoという仕組みを)アンラーニングのリハビリツールとして使って欲しい」「共有財産になっていく感覚にならないと、社会課題が解決しづらくなる」などの言葉が印象に残りました。
- 「便利な事はあらゆる負荷がかかっている」「正直者はバカを見る社会になっている」という言葉が印象に残りました。現在関わっている業界もそうして縮小しているように感じました。
- 「非営利型株式会社」そこに切り込んでいく姿勢が素晴らしいと思いました。これからは自分達が自分たちのお金の流れを作れる、お金のデザイン、という感覚がすごく鮮烈でした。
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NAGOYA WOMEN STARTUP LAB. 2021 オープンセミナー
タイトル:第6回 お金が変わると経済が変わる?〜期限付きのお金がこれからの社会に必要とされる理由とは〜
日時:2021年8月23日(水) 19:00-20:30
会場:オンライン(Zoom)
ゲスト:新井 和宏氏|株式会社eumo 代表取締役
ナビゲーター:中島康滋|サスティナブル・ストーリー株式会社 代表取締役
申込者:56名
参加者:31名